作成日:2021.09.17
植物性エストロゲンという言葉をお聞きになったことがありますか?
植物性エストロゲンPhytoestrogen(フィトエストロゲン)は、植物由来のフィト化合物として、植物が環境ストレスから身を守る防御機構の一部として、生物学的役割を担っています。
ヒトが摂取すると、体の中のあちこちの臓器でエストロゲンレセプター(E R)に結合し、エストロゲン(女性ホルモン)作用を誘導します。
植物性エストロゲンは、構造が生体内エストロゲンと似ているので、体の中で弱いエストロゲン作用を誘導できるのです。
しかし、強いエストロゲンがE Rに結合するのを防ぐ役割もするので、エストロゲン効果とともに、抗エストロゲン効果も併せ持っており、エストロゲンが増えすぎないように調整する効果もあるとされています。
植物性エストロゲンでよく知られているのは、大豆に含まれているイソフラボン、ソバや赤や黄色の野菜、ザクロなどに含まれているケルセチン、ホップやグレープフルーツに含まれているフラバノン、ブドウの皮に含まれているレスベラトロールなどですが、私が最近注目しているのは、ハナビラタケというキノコに含まれている植物性エストロゲンです。
ハナビラタケは、古くから漢方薬として広く利用されているキノコの一種ですが、最近、東京女子医科大学と産業技術研究所、株式会社インタートレードヘルスケアの共同研究によって、“エストロゲン活性を持つが細胞増殖活性を持たない”いわゆる「サイレントエストロゲン」が存在することが、全ゲノム解析によってわかりました。
このサイレントエストロゲンはインタートレードヘルスケアが山梨県で独自製法により生産しているハナビラタケのブランド「ITはなびらたけ」のみで確認されています。
ふつうハナビラタケの多くの生理作用は、主成分のβグルカンによるものと考えられています。
しかし、今回、遺伝子解析によって、細胞増殖(がん発生の引き金)を起こさずにエストロゲン様の作用をするハナビラタケライドやスパラソルなどの成分が分離され、βグルカンの持つ抗癌、抗菌、血糖効果作用以外にも、ハナビラタケには女性ホルモン様作用が存在することが確認されました。
ハナビラタケは、白くてフワフワした、大きなお花のような素晴らしい外観のキノコですが、「幻のキノコ」呼ばれるほど希少価値が高く、漢方材料や和食の食材として珍重されています。
デパートの高級食材売り場で見かけたことがあるかもしれません。ハナビラタケは、抗がん作用、抗菌作用、血管新生抑制作用、血糖降下作用、インスリン分泌促進作用、免疫活性などが報告されていますが、女性ホルモンにも良いとなると、更年期や不妊、月経不順や月経前症候群など、ホルモンバランスの崩れによる女性の心身の揺らぎや不調に役に立ちそうです。
キノコ好きの私は、生鮮のハナビラタケは、鍋やうどんに入れたりなど様々な料理で楽しんでいます。コリコリした食感も大好きで、そのうえ女性ホルモン様作用があるとなるとちょっとワクワクしますし、愛犬も好きみたいで、少しだけ分けてあげています。サプリのハナビラタケも利用しています。こちらは簡便に摂取でき、倦怠感や疲労感、イライラや気分の落ち込み、情緒不安定などによいようです。
もともと、女性ホルモンのお薬は、ヤムイモというイモ科の植物から生成されました。今から60年以上前のことです。
当時、女性ホルモン薬は、不妊の治療に使われていましたが、現在ではどんどん進化しており、月経のトラブル(痛みや心身の不調の改善)、子宮内膜症や子宮腺筋症の治療などにも使われ、また、更年期の不調の緩和にも有用で、今では、女性のからだや心のパフォーマンスを落とさないために、また、人生の質を良くし、若々しく美しく過ごすためにも、世界中で上手に使われています。
そして、植物の力を最大限に引き出し、自分の力を余すことなく発揮する、様々な植物性エストロゲンも注目されています。
「ITはなびらたけ」のエストロゲンは、食品の一部(栄養補助食品)として安心安全に摂取できます。ぜひ、上手に使ってみてください。
対馬ルリ子先生 (ITはなびらたけアドバイザー)
医療法人社団 ウィミンズウェルネス
女性ライフクリニック銀座・新宿
理事長、産婦人科医師・医学博士
1984年、弘前大学医学部卒業後、東京大学医学部産婦人科学教室助手、都立墨東病院周産期センター産婦人科医長などを経て、2002年にウィミンズ・ウェルネス銀座クリニックを開院