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作成日:2019.11.27

ハナビラタケのエストロゲン様活性について

ハナビラタケのエストロゲン様活性

IT(アイティー)はなびらたけから発見されたエストロゲン様活性について、学校法人東京女子医科大学(以下、東京女子医大)研究員の川口佳代子さんに解説していただきます。
川口さんは、ハナビラタケの有効成分探求プロジェクトである「IT-はなびらたけプロジェクト」に当初から国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)のメンバーとして参加されました。

◆なぜ共同研究にいたったか(研究の背景)

当時、産総研におられた木山亮一博士は、女性ホルモンであるエストロゲンと同様の作用を持ちながら、エストロゲン依存乳がん細胞の増殖促進を示さない物質があることに着目して、DNAマイクロアレイを用いたエストロゲン活性評価法を開発し、数種の化合物がサイレントエストロゲンであることを明らかにしました。

また、東京女子医大の循環器小児科ではこの評価法を用いて、ヒメマツタケというキノコ 学名Agaricus blazeiの抽出物中から、抗腫瘍薬であるブレフェルディンAを単離し、同物質がサイレントエストトロゲンであることを突き止めました。

エストロゲン、サイレントエストロゲンの違い

一方、これまでハナビラタケには抗菌・抗腫瘍活性や免疫賦活作用など多くの生理活性が報告されていますが、その多くは主成分であるβ-グルカンによるものと推察されてきました。 しかし、近年、HanabiratakelideやSparassolなど新規生理活性物質が発見され、低分子分画を用いた研究ではダイエット効果や老化防止などへの期待も高まっています。

当初、インタートレードではハナビラタケ摂取による医学的有効性を検証するため、糖尿病と診断された患者様を対象に血糖値を下げる作用と肝機能改善効果の臨床試験を実施しました。 その際、脂質代謝制御、動脈硬化抑制などエストロゲン様作用と重なるデータが多数確認されました。 これは非常に興味深いという事で、産総研、東京女子医科大学にご相談し、「IT-はなびらたけプロジェクト」が三社共同の研究チームとして発足しました。

<これまでにハナビラタケから分離された化合物および有効成分>

●多糖類(β-グルカン)・・・抗腫瘍・抗酸化作用
●Hanabiratakelide A,B,C・・・抗菌・抗腫瘍作用・抗酸化作用
●Sparassol・・・抗真菌剤
●Methyl-2,4-dihydroxy-6-methylbenzote・・・MRSA成長阻害・美白効果
●新規フタリド化合物・・・細胞増殖抑制・抗高血圧作用

◆ハナビラタケの共同研究で行ったこと

共同研究では、ハナビラタケからエストロゲン様活性を評価するにあたり、従来法では発見が難しかった細胞増殖活性のないエストロゲン様作用を示す化合物「サイレントストロゲン」の探索に焦点を絞りました。具体的には、木山先生が開発したDNAマイクロアレイを用いた応答遺伝子発現プロファイル解析などを用いた探索を行いました。

〇細胞増殖アッセイ(SRB法)
〇ウェスタンブロット法を用いたERKリン酸化アッセイ
〇DNAマイクロアレイを用いたエストロゲン応答遺伝子発現プロファイル解析(木山法)

この方法であれば「サイレントエストロゲン」を評価できます。

分子、細胞レベルの非常にミクロの世界であり、また、限られた専門家のみしか取り扱いができないDNAマイクロアレイを用いた分析、評価のため、大変時間と労力がかかる研究でした。2年半に及ぶ研究の結果、当初三社共同の研究チームで思い描いていたとおり、インタートレードのハナビラタケからサイレント型エストロゲン様活性が証明されたのです。

◆ハナビラタケの探索研究によって分かったこと

当初インタートレードで行ったハナビラタケの研究は、血糖値を下げる作用や肝機能改善効果からスタートしましたが、ハナビラタケ抽出物を産総研が開発したエストロゲン活性評価法を用いて評価することで、
① 細胞増殖活性は確認されなかった。
② 細胞周期や細胞増殖を調節するERKのリン酸化活性が確認された。
③ DNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析からエストロゲン応答遺伝子との高い相関が確認された(R値0.76)。
の結果から、サイレントエストロゲン化合物の存在が明らかになりました。

◆ITはなびらたけのエストロゲン様活性の可能性

女性ホルモン(エストロゲン)は、体のさまざまな部位に作用し、女性らしさを保つために必要・不可欠な物質と言えますが、負の作用として乳癌の増殖・進展に深く関与しており、その摂取量には注意が必要とされています。

一方、女性は各ライフステージにおいて、エストロゲンの分泌量が大きく変化し、乳がんや、子宮筋腫、更年期には、不定愁訴など様々な女性特有の病気を引き起こします。しかしながら、このエストロゲン作用の細胞内メカニズムは十分に解明されていません。

特に、更年期ではエストロゲン分泌の急激な減少から始まり、全身に分布しているエストロゲン受容体においては、組織毎に特異的な転写調節がされ、下流の標的遺伝子はさらに多岐にわたっていることから、それらの症状の経過を一つ一つ解明するのは困難と言わざるを得ません。それに加えて、現代では女性の社会的な心理的要因や気候変動なども症状に大きく影響しています。

しかしながら、この数十年、細胞内メカニズムの研究は徐々に進められ、また、医療の現場においても、女性に対するトータルケアとしてQOLの維持・向上のため、女性の心身にまつわる疾患を予防医学の観点からの治療が注目されるようになってきました。

ハナビラタケはこれまで、生鮮食品や健康食品として多く利用されてきましたが、その薬理作用について科学的根拠が示されていませんでした。
今回、ハナビラタケ抽出物中にサイレントエストロゲンの存在が確認され、ハナビラタケの有効性を遺伝子レベルでも解明できたことは、今後、ハナビラタケを用いた新たな製品開発への糸口をつかんだともいえます。

「IT-はなびらたけプロジェクト」では、細胞内メカニズムにおけるエストロゲン活性を指標に今後も有効成分の単離、構造特定を目指した研究開発を進めていく予定です。癌発生リスクの少ない、新しいタイプのエストロゲン製剤の開発や女性ホルモン栄養補助食品への利用・応用が期待されます。

解説いただいた方
東京女子医科大学 研究員 川口佳代子さん

川口佳代子さん

東京女子医科大学 研究員
大手製薬会社にて、天然物創薬研究に従事。その後、 国立研究開発法人 産業技術総合研究所 所属の際、ハナビラタケ有効成分の研究開発に参画。現在は、東京女子医科大学 研究生として、女性のQOL向上のため日々研究に取り組んでいる。自身もハナビラタケの効能によりゆらぎ世代を快適に過ごしている。