後編
産まれてから清潔な環境で育てられた子供たちは、免疫機能を鍛える環境を失い、免疫が弱体化したと考えられます。その影響により、糖尿病、アレルギー、うつ・アルツハイマー等、様々な難病が増えているという可能性が指摘されています。
これらの病気は、戦後より経済成長とともに悪化していることは事実です。
欧米から始まったこの流れは、日本に、そして現在では中国などにも広がり、世界的に大きな問題になりつつあります。
また、先日の国連の警告によると「ジャンクフードはタバコより健康上危険」※1 、そして、「いまだに肥満は増加し、糖尿病、心臓病、それに伴うその他の疾患も増えている。過去の警告が活かされていない」と括られています。これは食事による栄養バランスの悪化が、これらの病気を引き起こす要因であるとの指摘でしょう。
これについては、先日参加した免疫関連のセミナーでも同様の説明がありました。
それによると、肥満により免疫細胞のひとつであるマクロファージ(白血球の仲間で貪食細胞です)※2の動作が、肥満でないヒトと異なり、急性炎症反応から慢性炎症反応を起こすとのことでした。
前編の冒頭、慢性疾患はヒトにしか起こらないと記載しましたが、栄養バランスの悪化も、免疫機能の弱体化を起こす要因ではないでしょうか?
次に病気と薬について考えたいと思います。
今回は、病気と薬、誰もが認める組み合わせについて考えます。
たとえば、子供が風邪を引き発熱すると、苦しみから解放するため、薬を与えることはよくあることだと思います。一方、発熱することは、身体に侵入した病原菌を退治しようと免疫細胞たちが戦っているためでもあります。
薬を与えるタイミングや限度にもよりますが、薬の投与が頻繁だと病原菌と免疫細胞が戦う機会を少なくし、免疫の弱体化を引き起こしているのではないでしょうか?
医学は免疫という複雑な機能を少しずつ解明できるようになってきましたが、薬は免疫機能を低下させる可能性が強いことも指摘されています。
薬が体内に入ると、ヒトの体内機能はその薬を分解するため体内にある酵素を大量に使います。それにより酵素は不足し、本来ヒトが使うべき酵素が減ることになります。
酵素不足により代謝が悪くなり、体温が低下し、その結果として、低体温では十分に機能できない免疫機能に大きな影響を及ぼすことも考えられます。
戦後間もない頃は、栄養不足、ビタミン不足が問題としてあげられていましたが、現在の様々な状況を考えると「免疫不足」の時代と言えるのではないでしょうか?
人体は神経系、内分泌系、循環系、免疫系、代謝系が関連し、健康を支えています。
そして、ひとつでもバランスが狂えば、お互いに影響し、健康バランスを崩します。
今後は、これらの関連性を含め考察したいと思います。
※1出典:国際連合人権委員会ホームページ
※2マクロファージ:貪食細胞、大食細胞。カラダの中で掃除屋の機能を果たす白血球の一種。動物の組織内に分布し、体内に侵入した細菌や体内に生じた変成物質などの異物を捕らえて消化するとともに、それら異物に抵抗するための免疫を伝えます。