前編
以前、免疫学が専門の医学博士に免疫についてレクチャーを受けていました。
その頃、慢性疾患は人(霊長類)にしか起こらないよ。とか、様々のことを教えて頂きました。当時は言っていることの意味すら理解できなかったのですが、以降、勉強を進める中で、なんとなくですが、知識がつながってきました。
以下、免疫不足に関する若干の考察です。
戦前には見られなかった様々な現代病の発生、それは経済の進化と共に深刻化しているように見えます。先日の国連の警告も含め。
生命の進化は、30億年以上になります。その原生時代からの進化過程において生物は自らを外敵から守るために「免疫」という優れた機能を手に入れて危機を乗り越えてきました。
免疫とは白血球に代表される免疫細胞が中心的役割を担いますが、免疫の仕組みを理解し、正確に説明することは非常に難しく、現代においても解明されていないことが多いのは、その長い歴史から見ても当然だと思います。
ヒトの進化には色々な説がありますが、最初の人類(ヒト)は200万年位前という途方もない昔に進化を始めたといわれ、今日に至ります。そして、その長い時間のほとんどは、ヒトは病原菌が多く存在する自然の中で共存して生き抜いてきたわけです。
しかしながら、日本においては、この100年、特に直近の50年位は先進国を追い求め、劇的に生活環境が変化しました。この変化は本来ヒトにある抵抗力に影響している可能性が十分あると考えます。
生活環境の変化には、極度の清潔志向、空調機による快適空間、仕事などによるストレス、食品添加物や農薬、PM2.5などの様々な公害、医療依存などなど、本来ヒトが生活してきた「自然」環境とは全く異なるものです。
ヒトの200万年の歴史から考えると100年は僅か0.005%に過ぎない期間です。このヒトの長い歴史からみて、自然とは程遠い人工的環境での生活は、ヒトが望んだ理想的な快適環境かもしれません。
しかし、動物としてのヒトの体の基本機能にとっては機能不全に導くような好ましくない環境なのかも知れません。
ヒトは本来、ウイルスや病原菌という外敵と共に、汚い環境でも生活できるよう、人体を守るために免疫機能が意識して活躍していたと言われています。その積み重ねが生まれながらの自然免疫へと進化していったと思われます。
しかし、現在の劇的な環境変化は、その免疫機能に頼らない人工的な快適環境を生み出し、それが、意識しない間にヒトの様々な機能を狂わせ、結果的に様々な病気の発生につながったと考えられるのではないでしょうか?